研究概要 |
本研究の目的は、「メルト包有物」という特殊な岩石試料を用いて、国内の巨大カルデラを形成した噴火のマグマの揮発性成分濃度を決定し、マグマ溜まり内の揮発性成分(主として,H2O,CO2,S)の濃集と発泡がカルデラ噴火で果たした役割を定量的に検証することである。研究対象は、後期第四紀に国内で起きた、テフラ量が>100km^3以上の巨大カルデラ噴火9つ(鬼界葛原、鬼界アカホヤ、姶良、阿多、阿蘇3、阿蘇4、洞爺、支笏、クッチャロ)である。各噴火の斑晶内のメルト包有物の化学分析を電子線マイクロアナライザー(EPMA)と二次イオン質量分析計(SIMS)を用いて行い、各マグマ溜まり内のメルトの揮発性成分(H2O,CO2,S)の濃度を決定する。さらに、各噴火について噴火ユニットやマグマ分化に伴った揮発性成分濃度の変化を明らかにし、マグマ溜まり内の揮発性成分の濃集・発泡プロセスを推定する。調査対象が北海道と九州に位置する7火山に及ぶことから、5年計画とする。平成20-22年度に九州の4火山の6噴火(鬼界葛原、鬼界アカホヤ、姶良、阿多、阿蘇3、阿蘇4)について、平成23-24年度に北海道の3火山の噴火(洞爺、支笏、クッチャロ)について研究を実施する。平成22 年度末に、それまでの研究進捗状況を考慮し、必要に応じて平成23-24年度での研究内容(対象試料の増減、再調査・再分析等)を検討する。
|