研究課題
これまでに得られた月探査機SELENE(かぐや)データに対してCSFD法を利用して、月面の多くの領域について、年代決定を試みた。その結果、従来決定されてきた年代とは異なる領域が数多くあることが分かってきた。得られた主な成果は以下の通りである。(1)月の裏側の海において、CSFD(クレータサイズ頻度分布)法による年代の決定を試みた。その結果、多くの領域で25億年前後の薄いながら若い年代の溶岩が表面を覆っていることが分かった。これは、利用したSELENE/地形カメラデータが、10mの分解能を持ち、従来あったデータ(ルナーオービターデータ;月裏側においては、殆どが、100m以下の分解能)より高精度であり、若く薄い溶岩によって隠されたクレータと、隠されなかったクレータが明瞭に区分できるようになっためである。この成果は、雑誌Scienceに掲載された。(2)特異な渦巻き模様があるライナーガンマについて、CSFD法とDL法に関わるクレータの直径深さ分布を調べた。その結果、渦巻き模様の黒い部分と、白い部分とにおいて、まったく差異が無いことが確認できた。これらは、渦巻き模様が、時代の差や、二次クレータの多寡で出来たのではないことを示す。本研究は、ドイツよりH.Hiesinger博士ならびにフランス、P.Pinet博士を招聘して議論された。その際、これまでに比べて、格段に高い精度、新しい知見を得られる解析成果と評価いただくと共に、今後のCSFD法、DL法の精度向上に関しての意見をいただいた。なお、本研究結果は、アジアオセアニア地球科学会議(韓国)、月会議(英国)、月惑星科学会議(米国)他、国内月会議月惑星シンポジウムや日本惑星科学会などにて発表を行った。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件)
Science 323
ページ: 905-908
Earth Planets, and Space 60(4)
ページ: 265-270