研究課題
1.研究内容前年度に引き続き、2009年6月から9月にかけて、スイス・ローヌ氷河において熱水掘削と氷河観測を実施した。掘削孔を使った観測によって、底面すべり速度、底面水圧、氷の鉛直歪み、底面堆積物の厚さを測定した他、堆積物のサンプリングと掘削孔カメラによる底面観察を実施した。氷河表面では、流動速度、表面融解、アルベド、表面高度の変化を測定した。掘削によって明らかになった氷河底面地形を用いて、有限要素法による氷河流動モデルを構築した。また表面融解量の観測値を数値モデルの結果と比較し、数値計算の妥当性を検証した。2.研究成果とその意義近年氷河湖が形成されたローヌ氷河末端において上記の観測を行ったことにより、(1)湖の形成による氷河流動速度の変化と末端浮上現象、(2)氷河底面の堆積物の組成とその分布、(3)氷河表面融解量の面分布、(4)過去2年間の氷河変動量、が明らかになった。氷河湖が拡大しつつある氷河における詳細な野外調査は世界にも例がなく、これらの成果は、氷河湖の形成が氷河流動に与える影響、湖によって加速する氷河後退のメカニズムを理解する上で重要な知見をもたらした。得られたデータは、今後数値モデルを用いてローヌ氷河の将来変動予測を行うために必要な入力情報となる。3.その他得られた研究成果を国内外の学会にて発表した他、査読つき英文誌に公表した。2009年9月、国際南極大学(International Antarctic Institute)のプログラムとして大学院野外実習をスイスにて実施し、8名の受講生がローヌ氷河において本研究活動に参加した。
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Journal of Geophysical Research, Earth Surface (in press)
Journal of Glaciology (in press)
Bulletin of Glaciological Research 27
ページ: 7-14
北海道大学低温科学研究所 技術部技術報告 15
ページ: 23-26
http://wwwice.lowtem.hokudai.ac.jp/~sugishin/photo_album/rhone2008/rhone2008.html
http://wwwice.lowtem.hokudai.ac.jp/~sugishin/photo_album/swisscourse08/swisscourse08.html
http://wwwice.lowtem.hokudai.ac.jp/~sugishin/photo_album/swisscourse09/swisscourse09.html