研究課題
1.アメリー棚氷北西沖の大陸斜面域での係留観測データの解析2009年1月の航海で回収した係留系による底層での流速、水温・塩分のデータと衛星データなどから見積られる沿岸ポリニヤにおける海氷生産量の比較を行った。その結果、係留観測データに見られる高密度の南極底層水の流出は、係留海域の南東に存在するケープダンレーポリニヤにおける海氷生産に起因しており、この海域が主要な南極底層水の生成域であることが示された。また、盛んな海氷生産量を反映して、高密度の南極底層水の層厚は、300m以上に達していることも明らかになった。2.アメリー棚氷北西沖の陸棚上のポリニヤ域での係留系の設置2010年2月に日本南極観測隊の砕氷船「しらせ」により、ケープダンレーポリニヤ内の2地点で、海氷の厚さおよび漂流速度、海洋流速、水温・塩分を計測する係留系の設置を行った。2011年2月に自分自身が日本南極観測隊に参加して、係留系の回収を実施する予定である。無事にデータが取得出来れば、南極沿岸のポリニヤでは、初めての詳細な氷厚データとなる。3.ケルゲレン海台東側斜面域での赤道向き流出量の見積り2003-05年にオーストラリア・南極海盆の西側境界ケルゲレン海台東側斜面域において、日豪共同で行った南極底層水の赤道向き流出量の係留観測の結果をまとめて、Nature Geoscienceに投稿し受理された。主な結果は、この海域における南極底層水の流出量は、南大洋におけるもう一つの主要な流出経路であるウェッデル海の北側海域でのものに匹敵し、南大洋のみならず、世界の海洋大循環において、重要な割合を占めていることが明らかになったことである。
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Nature Geoscience (印刷中)
Continental Shelf Research 29(11-12)
ページ: 1541-1548
Journal of Geophysical Research 114(C10025)
ページ: doi : 10.1029/2008JC005222