研究概要 |
31年間(1976-2006年)に観測点が移動していない約800地点のAMeDAS地点について,31年間の1時間降水量のトレンドを解析した.その結果,弱雨(5mm/h未満)と強雨(20mm/h以上)について,次の特徴的な経年変化が認められた. 北海道地方の約80%の地点で,1990年以降の弱雨の観測頻度が増加傾向にあり,北海道全体で平均した増加率は20-40%/30年と大きく,日照時間の経年変化との相関も高い.本州以南では,有意な弱雨の増加傾向を示す地点は認められなかったが,日照時間の減少は多くの地点で認められており,北海道の日照時間の経年変化と同期していた. 一方,強雨については,減少傾向を示す地点よりも,増加傾向を示す地点が約10倍多く,特に,中国〜九州と北関東山岳周辺で増加傾向を示す地点が集中していた.北関東山岳周辺では増加傾向を示す地点は標高が高くなるにつれて増える傾向にあるが,この傾向は中部山岳などの他の山岳域では認められなかった.北関東山岳周辺の有意に強雨が増加した地点では,夕方〜早朝の強雨の観測頻度が増えており,それらの多くは,熱的局地循環が発達した日に山岳の南麓で発生した積乱雲によりもたらされていた.北関東山岳周辺では熱的局地循環に関連した積乱雲により,近年,降雨が増加している可能性が高いことが示された.
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