研究概要 |
短波海洋レーダによる海流データと人工衛星リモートセンシングデータを用いて,沖縄本島西方海域の海流・海上風・海面水温の関係を調べた。短波海洋レーダとは,沿岸から,短波帯の電波を海面に照射し,海面で散乱されて戻ってきた電波をスペクトル解析(得られたスペクトルをドップラースペクトルという)することによって,表層の海流や波浪などを観測する装置である。海上風はマイクロ波散乱計によるもの、海面水温はマイクロ波放射計によって得られたものである。この沖縄本島西方海域の観測例は少なく、海洋環境の実態は殆ど知られていない。この海域は黒潮(西岸境界流)の東側の再循環域に相当する。従って北上する黒潮に対して,南下する流れがあると考えられる。海洋レーダによる海流の観測期間は1999・2000年内の各々約1ヶ月程度である。観測期間が短いため,2003年から2005年までのJCOPE(Japan Coastal Ocean Predictability Experiment)による同化データも使用した。海洋レーダによる海流データと人工衛星リモートセンシングデータを解析した結果,この海域の平均海流は南向きであること,この海流の向きは海面水温と対応していることが示された。この南向き流は強くなることがある。また黒潮の東側の海上では,正負の風応力カールが見られる。そして南向き流は強いときは,この風応力カールが強化されることが示された。これらの結果は,JCOPEデータによっても確認された。この成果は海象リモートセンシングの応用研究の一部となるものである。
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