研究概要 |
2010年2月24日~3月13日に、南米パタゴニア氷原ペリート・モレノ氷河において、氷河動態観測を実施した。具体的な観測内容は、氷河を全層掘削しての氷河底水圧測定、および表面流速測定、氷河末端氷崖の測量、氷河湖水位測定、中流域脇の気象観測等である。共同研究者らと協同しこれらの観測に成功を収めたことで、典型的なカービング氷河である同氷河の流動および変動機構に関して、これまで以上に詳細な解析の道を拓いた。これは、本研究の目的である、カービング氷河の変動(氷厚変化)と氷河前面湖の水位、ひいてはカービング速度との間のフィードバック機構を検証することに対して、きわめて重要な定量的データを取得したことを意味している。また昨年度までの同氷河における観測成果のとりまとめを進めて、共同研究者が学会発表した(榎本ら,2009;杉山ら,2009)。 一方、ブータン・ヒマラヤにおける氷河および氷河湖の現地調査の実施に向けた具体的検討と諸準備を開始した。またヒマラヤにおける氷河縮小と氷河湖決壊洪水の問題に関して、これまでの研究成果を招待講演した(内藤,2009)。
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