研究課題/領域番号 |
20540431
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
松浦 知徳 富山大学, 大学院・理工学研究部, 教授 (10414400)
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研究分担者 |
下川 信也 防災科学技術研究所, 水土砂研究部, 主任研究員 (40360367)
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キーワード | 黒潮・黒潮続流域 / ダブルジャイヤー海洋大循環 / 非線形力学 / 準地衡流渦位方程式 / 中長期変動 / カオス |
研究概要 |
海洋において、風成循環と関連した60日〜数10年程度の時間スケールの様々な変動が観測されている。これらの広範囲の時間スケールの変動がどのような原因で発生しているのかを明らかにすることは海況の将来予測のために重要な知見を与えると考えられる。例えば、黒潮の変動を見た場合、80日程度の変動は中規模渦現象と関連しており、黒潮の大蛇行に関しては20年程度と7〜8年の時間スケールにスペクトルピークを持つ。さらに、最近、黒潮の続流域で高周波の変動を除去すると2〜3年周期の変動のあることが指摘されている。以上のような海洋大循環の変動を解明する場合、複雑な海洋大循環モデル(OGCM)で研究するのではなく、より単純な中間規模の複雑さをもつモデルである準地衡流方程式(Q-G)によって研究することは変動の本質の解明に寄与する。そこで、黒潮から黒潮続流域にかけての亜熱帯循環の強流域における数年から数十年の変動の発生機構と変動特性を明らかにすることを目的として、慣性サブジャイヤーが周期的に切離するダブルジャイヤー海洋に対して、非線形相互作用の観点から季節変化風応力を外力振動として作用させた1.5層Q-Gモデルとエネルギー収支モデルを使って調べた。 その結果、固有振動ω_0(2.6年)と季節変化外力振動の半分ω/2(2年)の間で引き込み現象を起こし、ダブルジャイヤーがカオスに発展していくことがわかった。さらに、外力の振幅を大きくしていくと慣性サブジャイヤーの切離とモドン状の解との間で間欠不規則変動を起すことがわかった。この変動は、ダブルジャイヤー海洋独自の数年から数十年と対応している可能性がある。 以上の研究結果は、黒潮等の西岸強化流の長期変動に対して大気の季節変動の風応力が関与しえることを示した研究として意義がある。
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