研究課題/領域番号 |
20540431
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
松浦 知徳 富山大学, 大学院・理工学研究部, 教授 (10414400)
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研究分担者 |
下川 信也 防災科学技術研究所, 水土砂研究部, 主任研究員 (40360367)
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キーワード | 黒潮・黒潮続流域 / ダブルジャイヤー海洋大循環 / 非線形力学 / 準地衡流渦位方程式 / 中長期変動 / カオス |
研究概要 |
黒潮続流域上流は、10年規模で変動していることが指摘され、その原因の解明が最近注目されている。そこで、この原因を明らかにし黒潮続流域の流路予測に役立てるため、本年度は1993年から2005年までの気象研究所北西太平洋データ同化システムの海面高度データを使用し、自己組織化マップ(SOM)の手法によって流路のパターン分類を行った。その結果、二つの異なる長期変動が抽出された。一つは流れが強い安定した準定常的な蛇行パターンと南の再循環が減衰し暖冷水塊が切離する流れが弱い不安定なパターンからなる二つのモードが長期間で変動するものである。もう一つは、黒潮続流域の流軸が南北に移動する変動である。前者は準地衡流モデルによって本年度数値的に調べた強流の2波長の準定常的な流れがカタストロフィック的に崩壊し、高低気圧を発生させる現象に対応していることが確かめられた。現在、この結果のとりまとめを行っており、黒潮続流域の流れの安定・不安定に対する新たな考え方を提出する予定である。また、後者は北太平洋における風応力場と密接な関係が見出された。この関係は、風応力カール零の位置が北へ移動すると、流軸も北へ移動し、風応力カール零の位置が南へ移動すると、流軸も南へ移動する関係である。この結果は風応力カール零の位置で亜熱帯循環系が剥離する考え方に対応している 以上の成果から、今後強流域の流軸の変動予測を行うためには何が重要な要素であるのかが明らかとなり、統計的な流軸予測モデルの構築の手がかりが得られたことになる。
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