研究課題
大気大循環モデル(GCM)を用いた数値シミュレーションにより、これまでの観測から知られていた上部熱圏での特徴的な温度構造である真夜中の海度極大(Midnight Temperature Maximum : MTM)が再現された。従来の数値モデルで計算されるMTMは、振幅が極めて小さいものであったが、本研究では観測と整合的な150K程度の振幅が計算された。これは、下層大気の影響を十分に取り入れ、高次のモードの大気潮汐の影響を考慮した結果と考えられる。さらに、MTMを生成する上で、高緯度側高温領域からの流れ(移流)による効果が潮汐起源の大気の収束流に加えて重要であること、MTMによる気圧傾度力は南北風の向きの反転には影響しないであろうことが示された。このような下層大気起源の潮汐変動の影響に加えて、高緯度領域では大気重力波の影響と考えられる局所的な温度構造が時々刻々と変化する様もGCMシミュレーションにより予測されている。EISCAT Svalbard Radar(ESR)による2007年3月から2008年2月の1年間連続観測データの解析を昨年度に引き続き進めた。従来、強い加熱源は局冠域の熱圏・電離圏領域には存在しないと考えられていたが、ESR観測によるイオン温度は電離圏経験(統計)モデルであるIRIモデルに比べ±120K程度の大振幅の日変化を示すことがわかった。これまでの我々のグループによるGCMシミュレーションの結果との比較から、局冠域での熱圏・電離圏のエネルギー収支について議論していく予定である。
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