(1)地球・惑星磁気圏の動力学において重要な役割を果たす磁気流体(MHD)不安定性の線型の範囲での完全な理解を目標とする。具体的には非回転及び回転する磁気圏プラズマ中で、圧力駆動不安定性(交換型及びバルーニング不安定性)と電離層駆動の交換型不安定性について、不安定のための条件を現実的な磁気圏プラズマの平衡モデルに対して明らかにする。この線型安定性解析においては研究代表者が開発した磁気圏のエネルギー原理(2007年発表)を基礎として行い、単に磁気圏プラズマのみにとどまらず、磁気圏が下部で接する絶縁層である中性大気の存在まで考慮に入れて安定性を明らかにする。 (2)高ベータプラズマ中では、以上の理想MHDの不安定と異なり、理想MHDより更に正確な2成分流体の近似によって現れる反磁性イオンドリフト速度のシアーのために非理想MHDの不安定が生ずる。この不安定についてプラズマの不均一性、速度と磁場のシアーのすべてを考慮に入れた一般的な線型固有値方程式を導き出す。それから、この非理想MHD不安定の安定のための十分条件を導き出し、実験室プラズマ及び磁気圏プラズマに応用する。
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