研究概要 |
宇宙プラズマ中の磁気流体(MHD)波動は振幅が非常に大きいため、波動間の非線形相互作用が盛んであるはずである。これを人工衛星データより検証し定量化する方法を開発し、数値シミュレーションにより得られたデータおよび実際の人工衛星データに対して開発した手法を適用し、その実用性を確認している。平成20年度は主として以下の項目について、研究をすすめた。 ●地球磁気圏衝撃波上流域における大振幅MHD波動への適用を念頭におき、カポンの方法として知られている波数の決定手法を応用することにより、波動間相互作用を特徴づける2つの高次相関解析方法を開発した。開発したそれぞれの手法にっいて、テストデータによる手法の有効性を確認し、精度、データ処理速度などについての評価を行った。 ●実際の人工衛星データ(クラスター)により地球磁気圏衝撃波上流域で得られた磁場データに対して開発した方法(の1つ)を適用した。得られた結果はMHD波動間に非線形相互作用が生じていることを示唆している(Narita et al.,2008). ●最大エントロピー法を用いた高次相関解析のスキームについて、基礎的な研究を進展させた。観測点の数が比較的少数(4-8程度)の場合にはカポンの方法が優れているが、観測点数がそれ以上の場合には最大エントロピー法も有力である。
|