宇宙プラズマ中の磁気流体波動は振幅が非常に大きく、波動間の非線形相互作用が盛んであるため、これを複数の人工衛星データから検証し定量化する方法を、特に波動の高次統計に着目して研究してきた。開発した手法を数値シミュレーションにより得られたデータ、さらに実際の人工衛星データに対して適用し、手法の有効性を確認するとともに、宇宙プラズマ波動の非線形相互作用についての物理的議論を行っている。平成22年度は本研究の最終年度であるため、主としてこれまでに行ってきた議論の総括を行った。本研究の成果は以下の通りである:(1)複数衛星により得られたデータの前処理に関し、データの定常性の判定、データ補間など、いくつかの具体的な点についてデータ処理の手法を開発し、その有効性を議論した。(2)カポンの方法として知られる波数決定法を、波動間相互作用を特徴づける高次相関解析に応用する手法を開発した。(3)最大エントロピー法を用いた波数解析をおこない、カポンの方法と比較検討した。(4)カポンの方法による高次相関解析の雑音に対する脆弱性の検討を行った。現在、これらの結果を総括した原著論文を投稿準備中である。
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