研究概要 |
四国中央部、高度変成岩が主要分布する三波川帯を調査、広域マッピングした。主要な成果は、汗見川デタッチメント断層や高度変成岩鍵層の追跡、東への不連続確認による蛇野アウトオブシークエンス断層の発見と追跡(これが"四万十変成帯"と三波川帯高度変成岩との境界断層である;デタッチメント断層以外には、最もありそうな地震断層の候補である;ただし、真の海溝型地震断層に相当する断層はついに三波川帯高度変成帯からは見出せなかった)、富郷デュープレックスの発見と大歩危背斜との対応関係の明示、大歩危砂質片岩は2層準に発達することの確認、エクロジャイトは御荷鉾オフィオライトのメタモルフィックソールに由来する堆積性メランジェ岩塊であることの証明(エクロジャイトにはプレD1のスタティックな構造が保存されている;なぜスタティックであるかは分からない)である。以上はこれまでの三波川帯の大構造の見直しであるとともに、それを初めて明確にしたことに他ならない。 簡単な解説書付きの7.5万分の1カラー地質図として、愛媛県総合科学博物館から発刊となった。本研究の成果は、地質図そのものであるが、上記した成果は解説書でも述べてある。地質図は三波川帯研究者の現地調査に有用である。また、縮小した地質図ファイルを三波川帯研究者に提供するので、その図は、東野(1990)に代わって、多くの論文でインデックス図として、使用、引用されることが期待できる。 詳細は、Osozawa and Wakabayashi, Wedge extrusion followed by out-of-sequence thrusting and duplexing,and solving knocker problem,the Sambagawa HP-LT schist,Japanとして、間もなく国際誌に投稿予定である。 並行して研究を進めた石垣島の高圧変成岩のエクスヒューム構造についても、国際誌に掲載される。
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