研究課題
地震性断層運動に伴う断層面近傍のダメージを評価するために、岩石を高い封圧下ですべらせる実験を行った。すべり面の表面を研磨して接触面を大きくした場合には、固着すべりが発生しやすい。花崗岩などの多結晶体では、封圧が大きいほど固着すべりの応力降下が大きくなる傾向を示したが、石英単結晶を用いた実験では、必ずしもそのような傾向を示さなかった。これは、多結晶体に比べて、単結晶中に形成された割れ目は、容易に進展しマクロな破壊面に発達しやすいため、ピストンによる軸応力がすべりによって解放される前に破壊よって解放されたためであると考えられる。実験で用いられた試料を観察すると、すべり面に挟まれて破砕物の層が発達していることが確認された。比較的応力降下が大きい実験試料ではアモルファス層が形成されている。TEMで観察すると、アモルファス層中には、層にほぼ平行な面構造力弐見られ、壁岩との境界は、不明瞭で、しばしば粒界や亜粒界に沿って湾入している。アモルファス層がメルト起源か焼結体かによって、断層の加速-停止挙動が支配される可能性がある。このことを明らかにすることは者わめて重要であると考え、TEMによる高分解能観察を行っているが、まだ結論は得られていない。アモルファス層近傍の壁岩中には、残留応力の存在を示唆する歪コントラストが観察される。これは地震性すべりで解放されなかった歪みエネルギーに相当する。XRD, TEMなどで残留応力測定を試みているが、微小領域であるがゆえに結果を得られていない。21年度はEBSDを用いた格子歪測定を試みる予定であり、そのための試料調整を行っている。
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Tectonophysics 469
ページ: 13-24
地質学雑誌補遺 114
ページ: 76-85
ページ: 33-50