研究概要 |
我々のGPR探査研究の目的は沿岸低地の浅層地下構造を実験的にイメージングし,この地に残され跡や津波痕跡調査へのGPRの応用の可能性を検証することにある.今年度は霧多布湿原と南部沼湿原カナダSensors&Software社のpulseEKK0100を使用して実施した.今回は100MHzと200MHzの送テナを併用して探査を実施した..Noggin 250MHzも部分的に併用した.この際,送受信アンテナ間隔1m,測点間隔0.25mの条件で反射法調査を行った.なお,堆磁波速度はCommon mid-point観測結果から求めた.さらに,GPR記録の地形補正を行うためにVRS-Hを用いて位置決めを実施した. 探査実験の結果,100MHz,200MHzでは6〜7m程度のイメージングが出来,現在の湿原表層を覆(層厚1〜3m),さらにその下位の海浜層も読み取ることができた.これは湿原環境でのGPR探査の意味する.さらに,泥炭層を透過し地表から下位の前浜〜上部外浜堆積物(浜堤堆積物)の堆積構造に成功した.これにより,汀線の後退によって湿原環境が広がっていった過程が読み取れた.ここでの反射面に着目するならば,複数枚の反射面が認められ,これらは堆積構造の反映と考えられる.泥隙が多く,含水率が高いものの,比較的均質であり,反射面を生じる要因は存在しない.よって,こ炭と砂(もしくは火山灰層)の物質境界で生じた反射面と考えてよいであろう. 一般にGPR記録の垂直解像度は物質内の伝搬速度によって規定され,湿潤砂では100MHzで27-34cmでは13.5-17cmが基準値である.泥炭層では,これよりもやや大きめの数値を示すと考えられ,100MHzcm,200MHzで20-25cmがこの条件でのGPR探査記録の解像度の精度限界と推定される.
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