研究概要 |
北海道東部太平洋沿岸の巨大津波痕跡にいて,未だ不明確であった根室地域において,2008年6月,根室市西尾建設(株)の協力を得て,根室市南部沼中央の沿岸低地でメガトレンチを掘削し,過去5500年間に堆積した泥炭層中に16層の巨大津波堆積物の層序が確認された.翌2009年11月,第一産業(株)の協力を得て,南部沼西部,桂木採石場において,幅100mにも達するメガトレンチ断面における巨大津波堆積物の側方層相変化を観察することか出来た.これを受けて,2010年11月,我々はこれら2つのメガトレンチの側壁上面に地中レーダー探査測線を設定し巨大津波堆積物の側方層相変化をイメージングすることを試み,その解像度と探査深度を検証した.今回のGPR探査にはSensors&Software社のpul seEKKO100(200MHzアンテナ)とNoggin 250MHzを併用して行った.この際、観測点間隔はpulseEKKO100が0.25m, Noggin 250MHzが0.05mとし,探査探度は湿原環境の場合表層から約6m以浅と限定されたが,記録の解像度は15-20cmと高く,大まかな層相のイメージは可能となった.今回の探査実験を総括すると,以下の3点が明確となった. (1)沖積層基底の海進面(不整合面)が反射面として明確にトレースできた (2)層厚が1mを越えるNS13層の津波堆積物がpulseEKKO100(200MHzアンテナ)とNoggin 250MHzで明確に捕らえられた.これによって,湿原地域において非破壊で侵食痕や津波堆積物をトレース可能であることが今回の実験で証明された (3)特に泥炭層下位の海浜堆積物の堆積構造を,地中レーダー記録で明確にイメージング出来た成果は,今後の更なる技術的発展が見込めると考えられる
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