本研究の目的は、房総半島千倉層群における、古地磁気層序・酸素同位体層序・石灰質ナノ化石による生層序を組み合わせた複合層序を構築し、それを同層準の堆積年代(約1.5~3.5Ma)における国際的な基準層序として供することである。特に近年話題となっている第四紀開始時期(2.6Ma)を本層準は含んでおり、更新統/鮮新統境界を示す模式層序として十分なポテンシャルを持つことから、本研究の重要性は高まっている。 計画年度2年目に当たる平成21年度は、千倉層群下部を占める布良層の上部において層厚150mから計60層準より岩石試料を採取し、有孔虫化石を抽出したのち、高知コアセンターにおいて酸素・炭素同位体測定を行った。この結果、前年度までに構築された下部布良層における複合層序とあわせ、2.4-3.5Maにわたるほぼ連続した複合層序を構築することができた。また千倉層群上部を占める畑層における複合層序は1.5-2.2Maの間においてほぼ構築していることから、平成22年度においてこれらの間をつなげ、研究目的を達成する予定である。この畑層においては、本年度、詳細な古地磁気測定を進め、その結果、オルドバイ正磁極亜紀の下限境界の位置を誤差1m以内で決定することができた。さらにその下部にあるリユニオン正磁極亜紀についても、詳細な位置決定をできる可能性が高まった。
|