研究課題
亜熱帯循環の成立、パナマ地峡の形成、亜寒帯循環の成立など、海洋循環の変遷は太平洋における海洋プランクトン珪藻の多様化とプランクトン・プロビンス分化の主な要因であると考えられる。この仮説の検証を目的に本研究を進めた。具体的には、属レベルで生存期間が長く、広域に分布して、多産する種・変種・morphologic typesの古生物地理図を作成し、これらと海洋循環変遷史とを対比することによって、上記検証を進めている。四年計画の二年目にあたる今年度は、初年度に引き続き、生存期間が長くて多産するThalassionema属Cavitatus属に含まれる種を解析対象にした。国際深海掘削計画において北太平洋(Site 884)、赤道太平洋(Sites 574, 806)、南太平洋(Sites 266、1023)、インド洋(Site 266)から採取された5本のコアより330試料を選択して解析を進めた。330試料より、既に記載されている種・変種に加えて、少なくとも5つの種・変種が新たに識別された。Cavitatus属の各種は、始新世以降、後期中新世まで産出した。それらの分布、多様性の地域差の検証には、さらに分類学的検討を要する。一方、Thalassionema属の各種については、初めて産出する前期中新世以降、東赤道太平洋においての中期中新世における多様化、プロビンスの分化が認められた。この多様化は、亜熱帯循環の成立に起因する可能性が高い。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
National Museum of Nature and Science Monograph 40
ページ: 1-5
Quaternary Research 72
ページ: 377-387
ページ: 7-11