研究概要 |
1大分県佐伯市木浦鉱山産の砒鉄鉱から分解して生成された鉄の砒酸塩鉱物群を研究中に、日本ではまだ未確認であったbendadaiteの存在を北海道大学で行われた日本鉱物科学会で講演した。これは鉄の酸化状態で異なる種を作るこのグループの生成環境を考える上でよい材料の一つとなる。 2長野県茅野市向谷鉱山産のNi-Co-Fe-As-S系鉱物の分解、Bi-Te系鉱物の分解によってできる鉱物群を研究した。特に、日本では未確認のBi砒酸塩鉱物が存在していることがわかった。鉄の砒酸塩鉱物は、pharmacosideriteとsymplesite系鉱物が主で、それらと自然ビスマスの分解でできたbismutite(ビスマスの炭酸塩)と反応してBi砒酸塩鉱物がその後に生じたものと思われる。 3鹿児島県垂水市栂平鉱山産Au-Bi-Te-W-S系鉱物を研究した。特にjoseite-Bの分解とferberiteの分解によって、russellite(ビスマスのタングステン酸塩)ができていることがわかった。ビスマスはさらにeulytine(ケイ酸塩)という二次鉱物を作っている。 4新潟県阿賀町三川鉱山から採集したgalena, sphalerite, chalcopyriteの分解物(特にaluniteグループ)を研究し、そのうちのbeaverite-(Zn)が国際鉱物学連合から新種として認定された。 5含砒素および含燐鉱物の5種類(mimetite, conichalcite, scorodite, wavellite, pyromorphite)を選択し、日本地図上にプロットする簡単な方法を研究した。個々の鉱物種について、鉱山名(産地名)と緯度経度情報を入力すると、グーグル地図上にバルーン表示で示される。当然ながら、この作業はネット上につながっていることが必要である。
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