研究概要 |
(1)酸性降下物等により森林土壌からのカルシウム流出が増加すると、カルシウム欠乏が動植物の生育に悪影響をおよぼすことが懸念されている。本研究では、水に溶解しやすく土壌に保持されにくい有機錯体カルシウムの存在割合が高くなれば、カルシウム流出が加速される可能性に着目し、「森林土壌から渓流に流出する溶存態カルシウムは、カルシウムイオンとして存在するのか、それとも可溶性有機錯体として存在するのか」を、野外観測と室内実験に基づいて判定し、その結果の地球化学的意味を解明することを目的とする。 (2)まず,カルシウムイオン選択性電極が,カルシウムイオンを検出するのに対してカルシウム有機錯体を検出しない現象を利用して,カルシウム有機錯体を定量する方法を確立する。モデル溶液を調製して,理論計算値と実測値の照合を行った後,筑波山渓流水の野外観測を行い,「森林土壌から渓流に流出する溶存態カルシウムは、カルシウムイオンとして存在するのか、それとも可溶性有機錯体として存在するのか」を判定する。さらに,カルシウム有機錯体の生成がアルミニウム有機錯体生成を妨げる効果の解明を試みる。
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