研究概要 |
酸性降下物等により森林土壌からのカルシウム(Ca)流出が増加すると、Ca欠乏が動植物の生育に悪影響を及ぼすことが懸念される。本研究では、水に溶解しやすく土壌に保持されにくい有機錯体CaによりCa流出が加速される可能性に着目し、「森林土壌から渓流に流出する溶存態Caは、Caイオンとして存在するのか、可溶性有機錯体として存在するのか」を明らかにすることを目的とした。Ca選択性電極を利用した可溶性有機錯体Caの定量方法を開発する過程で,従来注目されてこなかった,電極リガンドが有機錯体CaからCaイオンを引き剥がしてCaイオン濃度を過大評価する現象が明らかになった。この現象の影響を受けないで有機錯体Caの定量が可能となる条件を検討したが,環境試料がこの条件を満たすことは希であり,渓流水試料中の有機錯体Caの定量は困難であることが判明した。
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