研究課題
多重ガンマ線放射化分析法による地球科学試料のイリジウムの高感度分析の高度化を行った。本法により11種類の岩石標準試料中のイリジウム含有量の分析を行い最高8pptの検出感度でイリジウムの分析に成功した。これらの試料は全てイリジウムの推奨値が無いもので、2つの試料については以前に測定された報告値があるのみである。本研究により3試料のイリジウム濃度の値付けが行われ8試料の上限値が求められた。JP-1に関しては報告値と良い一致が見られたが、62ppbという報告値のあるJB-3では150ppt以下という上限値が得られたのみであった。JB-3と同種のBasalt(玄武岩)から作られた標準試料においてもこのような高濃度のイリジウムの報告値は無く以前の報告値は誤報であると考えられる。グリーンランドISUA試料については一部の試料の分析から100ppt程度の高濃度のイリジウムが検出された。この結果をデンマーク・グリーンランド地質学調査所のP.APPEL博士のもとを尋ね議論を行った。さらにISUA試料の提供を受けさらに分析研究を継続する予定である。またイリジウムなど放射化分析において複数の同位体が観測される元素の多重ガンマ線分析による同位体分析の試みを行い、イリジウムのほかにユーロピウム、イッテルビウムの同位体分析に成功した。これらの結果はアメリカ原子力学会誌Transaction誌への投稿や放射化学討論会にて、オーストリア・ウィーンで開催された第22回Seminar Activation Analysis and Gamma-Spectroscopy(SAAGAS)会議発表において発表された。
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TRANSACTIONS, American Nuclear Society 99
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