研究課題/領域番号 |
20540479
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
藤原 民也 岩手大学, 工学部, 教授 (70042207)
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研究分担者 |
高木 浩一 岩手大学, 工学部, 准教授 (00216615)
向川 政治 岩手大学, 工学部, 准教授 (60333754)
高橋 和貴 岩手大学, 工学部, 助教 (80451491)
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キーワード | プラズマ・核融合 / 気体放電 / 低温プラズマ / 放電プラズマ |
研究概要 |
本研究の目的は、自己消孤を利用した大気圧低温プラズマ源の開発とその応用である。大気圧低温プラズマの発生法としてバリア放電が広く利用されている。バリア放電の自己消孤は、誘電体と背後電極との間に形成される浮遊容量の存在によって起る。これに対して本研究では、誘電体に点在させた銅箔と背後電極との間に形成される静電容量によって自己消孤が起る。本研究で開発するプラズマ源には、放電開始電圧が従来のバリア放電よりも低いこと、マイクロ放電(微小放電)の発生数や発生場所が放電条件(特にガスの流れ)に左右されないという利点がある。 平成20年度には、銅箔付きバリアの製作技術を確立し、主として放電開始電圧を調べた。その結果、本方式の放電が従来の誘電体バリア放電よりも放電開始電圧が25%程度低いことなどを明らかにした。 平成21年度の研究では、銅箔のサイズと数を変えて放電の安定性を調べた。その結果、銅箔の直径は0.5~0.7mm、バリア面上の銅箔数は1295~2300/(50mm×75mm)のとき放電はバリア表面に一様に形成されて、長時間安定であることがわかった。CCDカメラを使った写真撮影から、微小放電は初め一部の銅箔の周囲から始まるが、時間の経過とともに放電はバリア表面に一様に広がることがわかった。本方式の1周期あたりの移動電荷量は、消費電力が100mWでは約800nC、200mWでは1500nCであった。この値はバリア放電の移動電荷量よりも約20%大きい。移動電荷量は大きいが、本放電方式は低温プラズマ源であることを確かめた。すなわち、高分子材料PETを本プラズマに2分間晒し、その後目視による観察からは高分子材料に熱的損傷は確認されなかった。またプラズマに晒したことにより親水性の向上が確認されたが、表面処理は平成22年度本格的に取り組む課題である。
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