研究概要 |
超臨界高周波プラズマの発生,ならびに本プロセスによるナノ材料の生成が可能であることはすでに判明しており、そのプラズマの基礎物性,材料生成における反応条件、反応機構など、超臨界高周波プラズマにおける基礎特性については解明を進めている。昨年度末に購入した50mLを有する新しい反応セルに関し、これに対応する高周波回路・電極を開発した。従来の電極間放電に加え、筒状の電極を利用したプラズマジェットや片側の電極が誘電体で覆われている誘電体バリア放電など種々のプラズマ発生を可能とした。また、従来は数10MHz帯のみであったが、10kHz帯の利用も開始した。誘電体バリア放電ではアルゴンの超臨界状態下での放電の発生・維持に成功している。光電子増倍管や電流・電圧プローブを利用することで、この放電の波形を計測している。また、このアルゴン誘電体バリア放電では水を混入することで、OHの発光を得ている。1m級分光器を使った分光計測から、その詳細なスペクトルの計測を行い、計算コード(LIFBASE)のスペクトルと比較して、約500Kという温度を見積もった。なお、大気圧下のアルゴン誘電体バリア放電の温度は1000K程度であり、圧力の上昇とともに温度の現象が見られている。従来の超臨界二酸化炭素中の高周波放電では4000K程度であり、条件が大きく異なる低温プラズマを新たな反応場として得たことになる。これらを利用した材料開発を22年度に予定している。
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