研究課題
スズ(Sn)添加酸化インジウム(ITO)透明導電膜の代替材料として、AlやGaなどの金属を添加した酸化亜鉛(ZnO系)薄膜が注目を集めている。本研究では、高周波誘導結合プラズマ(ICP)を併用したスパッタリング法(ICP支援スパッタリング法)による安定性の高いアルミ添加酸化亜鉛(AZO)成膜プロセスの開発を行っている。平成20年度に実施した主な内容と成果を計画に従い以下に列挙する。1.真空排気・ベーキング・基板洗浄をルーチン化することで、到達真空度とターゲット・基板の表面初期状態のキャラクタリゼーション手順を確立し、実験の再現性を向上させた。2.直流マグネトロンスパッタリングをICP支援した際の膜質の変化およびその最適化を行った。動作気圧とガス流量、電極間隔、放電電力(電圧・電流)を変化させて得られる膜の成膜速度、透明導電性、その基板面内分布がどのように変化するかを系統的に調査し、2×10^<-3>Ωcm程度の導電率を有する均一性の良いAZO膜が再現性良く作成できるようになった。3.以上の1と2の対策により比較的良好な品質のAZO膜を再現性良く得られたことから、内部コイルアンテナの絶縁被覆の見直しと基板ホルダーの改良は現時点では不要であると判断した。4.膜質と基板入射熱流束の関係を調査するために、サーマルプローブを試作し、基板入射熱流束測定の動作確認試験を行った。ICP電力と熱流束の比例関係を確認し、基板入射熱流束測定の原理実証はできた。しかし、定量性の確保と時間応答の改善が今後の課題である。5.ホローカソードランプを用いた吸収分光システムを構築し、亜鉛原子密度の吸収測定予備実験を行った。ZnとAlともに明瞭な吸収信号を確認し、これらの原子密度を評価できるようになった。6.AZOターゲットに発生するアーキング現象を調査し、そのICPによる抑制効果を確認した。
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Plasma Science Symposium 2009 and The 26th Symposium on Plasma Processing (PSS-2009/SPP-26), February 2-4 2009, Nagoya, Japan
ページ: 250-251
ページ: 286-287