研究課題
我が国独自の高速点火方式レーザー核融合で点火を目指すため、高密度爆縮を指向した爆縮条件の確立、特にレーリー・テーラー不安定性成長の定量的評価と流体不安定性に密接に関連する電子熱輸送、輻射輸送等のエネルギー輸送の物理解明を行った。また、開発した爆縮計算コードを用いて大阪大学で開始された高密度爆縮プラズマを点火温度5keVまで加熱する実験(FIREX-I高速点火原理実証実験フェーズI)の実験条件設計、点火実証実験(FIREX-II高速点火原理実証実験フェーズII)の実験デザインに貢献した。今年度は3年間の研究最終年度にあたり、昨年度までに開発した要素物理、特に非局所電子熱伝導については計算解法の見直しを行い、より高精度かつ安定に電子の速度分布関数が解けるように計算コードの改良を行った。また、輻射輸送については計算負荷低減のためのモンテカルロ手法の検討を行った。3次元流体コードに関してはSmoothed Particle Hydrodynamics手法を用いてコードを構築し、従来2次元スキームとの比較、電子熱伝導、輻射輸送との結合により、統合爆縮流体計算環境を完成させた。開発したコードを用いて高速点火を解析し、爆縮がコーンターゲット先端を破壊し、コーン内部にプリプラズマを生成させることで高効率な追加熱を妨げている可能性を見いだし、コーン形状、及び物質の最適化、将来的な点火を見越したコーンターゲットの設計を行った。さらに高速点火実験(FIREX-I)において追加熱レーザーのプリパルスに起因するプリプラズマ生成を評価、解析し、プリプラズマの抑制手法についても提案を行った。高速点火における高密度爆縮及び高効率な追加熱を確実にするためのコーン内部環境の解析を通じ、高速点火の実現に向けた理論研究を行った。
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Journal of Physics : Conference Series
巻: 244 ページ: 022079-1-022079-5
Fusion Engineering and Design
巻: 85 ページ: 935-939
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