研究概要 |
本研究は最も興味深い頂点作用素代数の1つであるムーンシャイン頂点作用素代数を軌道体構成法により実現し、その構造をより深く理解するとともに、自己同型群であるモンスター単純群の新しい側面を見ることが目標である 本年度は代数的組み合わせ論的な対象物である符号や格子との類似との観点から頂点作用素代数の研究を行った。特に、符号から得られる格子と格子から得られる頂点作用素代数で成り立つ性質の間の類似を見つけ、格子から得られる頂点作用素代数の間の同型問題を解決した。この結果は台湾で行われた研究集会「Mini workshop on algebraic combinatorics」において発表した。 これら類似をヒントとして、ムーンシャイン頂点作用素代数とリーチ格子との類似の視点で、研究目標であるムーンシャイン頂点作用素代数の位数3の自己同型による軌道体構成法を行うことを引き続き目指す。 また, 台湾の国立成功大学のChing Hung Lam教授との共同研究で枠付き頂点作用素代数の枠固定部分群の研究を行い、その構造の決定方法を与えた。この結果によって、ムーンシャイン頂点作用素代数へのある種の自己同型群の作用が符号を用いて記述することができるようになり、モンスター単純群の理解が深まった。
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