本研究は最も興味深い頂点作用素代数の1つであるムーンシャイン頂点作用素代数を軌道体構成法により実現し、その構造をより深く理解するとともに、自己同型群であるモンスター単純群の新しい側面を見ることが目標である 本年度は、台湾の中央研究院教授Ching Hung Lam氏と共同で、格子に付随する頂点作用素代数の格子のノルム4の枠に付随するヴィラソロ枠の固定部分群の研究を完成させた。この研究によってムーンシャイン頂点作用素台数を含む多くの枠付き頂点作用素代数の対称性が符号の対称性を用いて記述されただけでなく、1998年にDong-Griess-Hohnによって発表された枠付き頂点作用素代数を定義した論文の中で挙げられた問題が解決されたことにもなる。この研究成果は国際誌International Mathematical Research Noticesに掲載された。また国内の研究集会にてこの研究成果が発表された。 また、軌道体構成法を理解するために行っていた符号・格子・頂点作用素代数の類似の研究成果として、直交空間を用いたムーンシャイン頂点作用素代数の構成と自己同型群の記述を行った。この結果によって、モンスター単純群のある極大部分群を直交空間の対称性を用いて記述し、新しい見方を与える事に成功した。この結果は台湾・中央研究院で行われた「One day workshop on algebraic combinatrices」及び韓国・浦項工科大学にて行われた「The 8th Korea-Japan Workshop on Algebra and Combinatorics」等の国際研究集会にて発表された。
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