研究概要 |
本研究は最も興味深い頂点作用素代数の1つであるムーンシャイン頂点作用素代数を軌道体構成法により実現し、その構造をより深く理解するとともに、自己同型群であるモンスター単純群の新しい側面を見ることが目標である。 本年度は、昨年度の成果を受けて、符号・格子・頂点作用素代数の類似の現象を研究した。そして,ゴレイ符号,リーチ格子とムーンシャイン頂点作用素代数の統一的な記述を直交空間を用いて与えることに成功した。特に、それぞれの場合に直交群から誘導される全自己同型群の極大部分群を記述することに成功した。さらに、ある性質を満たす極大等方的部分空間の一意性を証明することで、モンスターのムーンシャイン頂点作用素代数のある種の部分頂点作用素代数への可移性を証明することができた。この成果をまとめた論文は国際誌「Journal of the London mathematical society」への掲載が決定している。 また、この研究の中で、直交空間を用いた正則頂点作用素代数の構成法も与えている。この構成法を用いることで、15年以上も進展の無かった「中心電荷24の正則頂点作用素代数の分類」の解決へ向けた大きな進展を得た。 さらに、格子に付随する頂点作用素代数の同型問題において,Kleinian符号を含めた類似まで考えることで、符号・格子・頂点作用素代数の間の関連がより一層はっきりと見えるようになった。
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