研究課題
シンクロトロン軌道放射光を利用した表面X線散乱(Surface X-ray Scattering ; SXS)測定により、当該年度は以下の3つのテーマで実験し、それぞれの界面の原子/分子配列を決定した。SXS測定では、電気化学セルの改良や入射X線のエネルギーを最適化によって高速化した。1.Au(111)単結晶電極上にAgをアンダーポテンシャル析出(Underpotential Deposition ; UPD)させた系の、構造安定性とAgの析出量との関係を、SXS法により明らかにした。その結果、Ag単層膜は空気中では不安定であるのに対し、Ag二層膜は空気中においてもまた他の溶液に浸漬させても、原子配列が保たれることが分かった。2.Au(111)上にUPDさせたAg二層膜上の、アルキルチオール自己組織化単分子層(Self-Assembled Monolayer ; SAM)の電気化学的吸脱着過程を、SXS法によりその場追跡し、SAM吸着構造と下地Au基板の表面原子配列との関係を明らかにした。その結果、SAMが基板と平行に配向しているような、吸着量の低い状態ではAu(111)表面の原子配列は(√3x23)再配列構造と(1x1)構造とが混在しているが、飽和吸着すると再配列構造がすべてリフトした(1x1)構造となっていることが分かった。3.入射X線のエネルギーを、析出金属の吸収端近傍に合わせた、共鳴SXS (Resonance SXS ; RSXS)法を適用することで、これまで構造解析できなかった、Au単結晶上に析出させたPt超薄膜の原子配列を決定した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
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