本年度も引き続き、含遷移金属活性種の高分解能分光による研究をより複雑な系に適用すべく研究を進めたほか、ナノクラスターへの研究拡大を目指し、分光器の高感度化およびレーザーアブレーション装置の開発を行った。 昨年製作したレーザーアブレーション装置のプロトタイブでは、ステッピングモーターの発熱により、長時間の測定ができないという機械的なトラブルが発生したため、本年度は放熱機構を考慮したシステムを新たに作成した。これを分光器に組み込んでテストを行い、含遷移金属活性種のひとつであるCuClの回転スペクトルを観測したところ、長時間の測定に対しても安定動作することが認められた。さらに、CuClのスペクトル強度自体もこれまでより3倍程度増加して観測することができた。また、本分光器は旧いPC-9801コンピュータにより制御されているために経年劣化によるトラブルが頻発したことから、Windows PCによる制御を目指してシステムの大幅な改造にも着手した。手始めとして、今回製作したアブレーション装置をWindows PCから制御するシステムを製作し、安定動作することを確認した。
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