• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

共鳴構造の観点からの新規電子状態理論の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20550013
研究機関京都大学

研究代表者

佐藤 啓文  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70290905)

研究期間 (年度) 2008-04-08 – 2013-03-31
キーワード共鳴構造 / 電子状態 / ab initio / 原子価結合法 / 分子軌道法
研究概要

前年度までの研究では主に有機化合物を対象とした計算を行い、化学反応や光励起などをターゲットとして電子状態の特徴を引き出し、溶媒和などの外場の影響について調べて来た。今年度も引き続きこれらに関わる研究を進めた。具体的な事例をあげると以下の通りである。
(1)スチルバゾール化合物では電子遷移エネルギーの溶媒による変化(ソルバトクロミズム)が観測され、特に水素結合に代表される局所的な相互作用が大きな役割を果たすことがある。そこでRISM-SCF-SEDD法にTDDFT法を組み合わせて、メタノール、アセトニトリル、ジクロロメタンおよび水中における遷移エネルギーの計算を行った。実験値と比較すると励起エネルギーをやや過大評価したが、定性的な傾向としては概ね一致する結果を得た。
(2)近年、溶液内分子のイオン化ポテンシャルの測定が精力的に進められている。Koopmansの定理からも明らかなように、この変化量は分子の電子状態変化に直接由来していると考えられているが、実際の溶液内では注目する分子の電子状態と併せて溶媒の緩和も起こっており、複数の過程からなる複雑な事象である。RISMは平衡状態のための理論であり、原理的にはこうした緩和過程を記述できない。しかしながら溶媒緩和の線形応答性の仮定の下でこれらの効果を見積もり、均一な溶液中におけるイオン化のスペクトルの線幅を算出するための方法を提案した。観測結果と比較すると、分子種による差異はあるものの、概ね妥当な一致が得られた。
また電子構造を記述するより簡便な方法についても考察を進めた。これらを通して分子の電子状態およびその変化が、一般性の高い、見通しの良い手法で説明されることを示した。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] A Modern Solvation Theory: Quantum Chemistry and Statistical Chemistry2013

    • 著者名/発表者名
      Hirofumi Sato
    • 雑誌名

      Phys. Chem. Chem. Phys.

      巻: 未定 ページ: 未定

    • DOI

      10.1039/C3CP50247C

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Theoretical study on ultrafast intersystemcrossing of chromium(III) acetylacetonate2012

    • 著者名/発表者名
      Hideo Ando, Satoru Iuchi, Hirofumi Sato
    • 雑誌名

      Chem. Phys. Lett.

      巻: 535 ページ: 177-181

    • DOI

      DOI:10.1016/j.cplett.2012.03.043

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Theoretical study on ionization process in aqueous solution2012

    • 著者名/発表者名
      Kenji Iida, Hirofumi Sato
    • 雑誌名

      J. Chem. Phys.

      巻: 136 ページ: 144510

    • DOI

      10.1063/1.3700225

    • 査読あり
  • [学会発表] RISM-SCF-SEDD法を用いたメロシアニンのソルバトクロミズムに関する理論的研究2013

    • 著者名/発表者名
      和田拓也、佐藤啓文
    • 学会等名
      日本化学会第93春季年会
    • 発表場所
      立命館大学くさつキャンパス
    • 年月日
      20130322-20130325
  • [学会発表] 1,2-ジヨードテトラフルオロエタンの溶液内光解離反応に関する理論的研究2013

    • 著者名/発表者名
      石川励、佐藤啓文
    • 学会等名
      日本化学会第93春季年会
    • 発表場所
      立命館大学くさつキャンパス
    • 年月日
      20130322-20130325
  • [学会発表] Molecular Theory of Chemical Processes in Solution: Chemical Reaction, Equilibrium and Dynamics2012

    • 著者名/発表者名
      Hirofumi Sato
    • 学会等名
      Workshop on Structure and Dynamics of Water in Gas, Liquid and Solid Phases
    • 発表場所
      Institute of Atomic and Molecular Sciences, Academia Sinica, Taipei
    • 年月日
      20121128-20121130
    • 招待講演
  • [学会発表] 水素結合構造とその理論化学2012

    • 著者名/発表者名
      佐藤啓文
    • 学会等名
      第6回分子科学会シンポジウム
    • 発表場所
      早稲田大学 西早稲田キャンパス
    • 年月日
      20120609-20120609
    • 招待講演
  • [図書] 錯体化学選書6「錯体の溶液化学」(分担執筆)2012

    • 著者名/発表者名
      佐藤啓文、井内哲
    • 総ページ数
      12
    • 出版者
      三共出版

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi