『イオン液体』は塩でありながら常温で液体であり、新しい反応溶媒として注目されている。イオン液体中における反応の特異性の研究例は報告があるが、反応分子がどのような状態でイオンによって溶媒和されているかについては、分かっていなかった。本研究では、核磁気共鳴装置(NMR)を用いた水素原子核同士の核オーバーハウザー効果(NOE)測定によってイオンに溶媒和された極性溶質である水分子と、無極性溶質であるベンゼン分子の溶存状態を解明することに成功した。水分子は電荷との相互作用によって強く溶媒和されてイミダゾール環の2位の水素原子の近くに存在することを明らかにした。これに対して無極性のベンゼン分子は、イミダゾール環に対して芳香環を平行に重ねるような構造を取っていることを示した。得られた結果は投稿論文としてまとめているところである。
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