研究課題
地球惑星大気の放射を担う分子の分光学と反応を担う分子の素過程に関連する諸量を算出する分子計算システムと、結果を活用して大気実課題を研究する大気計算システムを、具体的応用課題に取り組みながら構築することを大きな目標としている。温暖化等への寄与が疑われる酸素分子一水分子錯体(O_2-H_2O)の存在量が、気圧などの大気パラメータにどのように依存するか、地球全体で錯体はどこに多くあるいは少なく分布し、それが季節によりどのように変化するかのシミュレーションを継続した。多次元非常和分子振動解析プログラムシステムのオブジェクト指向化を進めた。複数グループとの共同によるプログラム開発を容易にするために、可読性、保守性、再利用性の高いシステムを開発することは非常に重要だが、本分野でほとんど意識されてこなかった。有限要素法を中心に、既存プログラムの問題点を解決しつつこのような特徴を持つソフトウェア開発に力を入れた。また、もともと禁制なO_2やN_2の振動の錯体内での遷移、分子間振動、結合音領域の赤外吸収強度の計算するための理論の問題点の研究を継続した金星放射伝達計算における分子遷移線形の見積もりを行った。金星大気温度は、現在においても、放射伝達放射収支計算において正確に説明するのは難しい。その大きな原因として金星大気のような高温高圧下における分子スペクトルのライン線形の、特にスペクトル裾野の線形表現に問題がある事が指摘されている。分子科学の立場からは、実験的にも理論的にも非常に困難で、適切な説明はされていない。(すなわち、人類の英知が及んでいない。)本研究では測定された金星温度を正しい値と仮定し、それを説明する線形を検討した。
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Journal of Quantitative Spectroscopy & Radiative Transfer 111
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J.Geophys.Res., doi : 10.1029/2009JE003488 (In press)
http://smiles.nict.go.jp/index-e.html