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2009 年度 実績報告書

ジスピロ構造で架橋されたビチオフェン誘導体の合成と外部刺激応答性

研究課題

研究課題/領域番号 20550039
研究機関大阪大学

研究代表者

蔵田 浩之  大阪大学, 理学研究科, 講師 (40263199)

キーワードメカノクロミズム / チオフェン / 粉末X線回折 / アモルファス / ビラジカル / ジスピロ構造
研究概要

今年度は,2,2'-ビス(スピロジエノン)架橋された3,3'-ビチオフェン誘導体において,すりつぶしによって色が変化するメカノクロミズムという現象を見出し,その研究を中心に行った.ビチオフェン部の5,5'-位にN,N-ジメチルアミノフェニル基が付いた化合物において,IRスペクトルを測定するために乳鉢ですりつぶしたところ,黄色の粉末が赤橙色に大きく変化したのである.この赤橙色の粉末は空気中で1日以上放置しておいても安定であるが,ヘキサンなどの有機溶媒と接触させると瞬時に元の黄色に戻ることがわかった.N,N-ジメチルアミノ基以外のアミノ基を有する化合物を合成し,メカノクロミズムの有無を調べたところ,ピペリジル基やモルフォリル基などのアルキルアミノ基の場合にはメカノクロミズムが見られたが,ジフェニルアミノ,カルバゾリル基では見られなかった.さらに,アミノ基を有さない誘導体ではメカノクロミズムは全く観測されていない.電子スペクトルによる考察から,赤橙色の発色元はジスピロ構造が開裂したビラジカル体であることが示唆された.また,メカノクロミズムの各段階について,粉末X線回折測定を行ったところ,すりつぶした赤橙色粉末はアモルファス相をとっていることがわかった.したがって本メカノクロミズムの機構は,1)すりつぶすことによって結晶に外的なエネルギーが加わりアモルファスへと相転移し,2)過剰のエネルギーによって比較的弱いスピロ炭素同士の結合が切れ,3)分子のパッキングが緩やかなアモルファス状態ゆえに分子構造が変化して準安定なビラジカル種が生成し,4)そのビラジカル種はアミノ基によって安定化されるとともに可視部に吸収をもたらし,5)有機溶媒と接触すると局所的に溶液となりビラジカルの再結合が起こる,というプロセスを経ていると推測される.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Pentaleno[1,2-c : 4,5-c']dithiophene Derivatives : First Synthesis, Properties, and a Molecular Structure2010

    • 著者名/発表者名
      Akihito Konishi
    • 雑誌名

      Chemistry Letters 39

      ページ: 300-301

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Resonance Balance Shift in π-π One-Dimensional Chain of Delocalized Singlet Biradical2009

    • 著者名/発表者名
      Akihiro Shimizu
    • 雑誌名

      Angewandte Chemie, International Edition 48

      ページ: 5482-5486

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Shape-Persistent, Double-Helically Twisted Macrocycles with Two Quaterphenyl Moieties : Synthesis, Structure and Physicochemical Properties for a Chiral Sensor2009

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Kawase
    • 雑誌名

      Comptes Rendus Chimie 12

      ページ: 403-411

    • 査読あり
  • [学会発表] 2, 2'-ビス (スピロジエノン) 架橋-3, 3'-ビチオフェン誘導体のメカノクロミズム2010

    • 著者名/発表者名
      蔵田浩之
    • 学会等名
      日本化学会第90春季年会
    • 発表場所
      東大阪 (近畿大学)
    • 年月日
      2010-03-29

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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