研究概要 |
効率的結合形成反応の探索は、有機合成化学において、重要な課題である。ルイス酸などの活性化による結合形成反応で効率よく有用物質を合成する反応の開拓を行った。 1) エテントリカルボン酸誘導体と2-アミノベンズアルデヒドのルイス酸触媒による付加環化反応を調べた。2-アミノベンズアルデヒド誘導体とエテントリカルボン酸t-ブチルエステルをZn(OTf)_2存在下80℃で加熱したところ、橋掛けテトラヒドロキノリン誘導体が15-95%の収率で得られた、一方、室温でエテントリカルボン酸トリエステルと2-アミノベンズアルデヒド誘導体を反応させたところ、ヒドロキシテトラヒドロキノリン誘導体を立体選択的に38-90%の収率で得た。ヒドロキシキノリンt-ブチルエステルはZn(OTf)_2存在下80℃で加熱すると橋掛けキノリンに変化した。さらに、橋掛けキノリンの180℃での熱反応を行ったところ、脱炭酸によってインドール誘導体に位置選択的に変化した。 2) エテントリカルボン酸1,1-ジエチルエステルの塩化スズ存在下でのアレンとの-78℃または室温での反応後、Et_3Nで処理するとγ-ラクトン誘導体が17-63%の収率で得られた。エテントリカルボン酸トリエチルエステルの塩化スズ存在下室温での1,1-ジアルキルアレンとの反応でも、γ-ラクトン誘導体が49-82%で得られた。一方、エテントリカルボン酸トリエチルエステルとアリールアレンとの反応では、共役付加/Friedel-Crafts環化反応によってインデン誘導体を48-99%の収率で効率的に得ることを見出した。γ-ラクトン誘導体およびインデン誘導体ともアリルカチオン中間体を経て生成するものと考えられる。本インデン形成反応は、高修飾インデン誘導体の新規効率的合成法となる。
|