研究概要 |
これまで青色リン光材料として注目されているイリジウム錯体の中で,特徴的な性質を示すtris(2-phenylpyrazole)iridium(III)(Ir(ppz)_3)について、室温,溶液中で非発光性である事について検討を加え,mer-Δ体異性体からの光幾何異性化に付随して誘起される光学異性化では,fac-Δとその光学異性体fac-Λがやや過剰に(fac-Δが約18%ee)生成してくる事から,mer体の幾何異性化で誘起される光学異性化は,幾何異性化に付随して配位子場励起状態から起きていることを明らかにしてきた。今年度、その延長として赤色発光錯体では発光励起状態から配位子場励起状態へ熱励起されないことから異性化が起こらないことを明らかにした。さらに、これを青色発光錯体に応用し、配位子場励起状態のエネルギーが高くなると考えられるカルベン型配位子を用いることで異性化が起こらない青色錯体を開発することができた。 イリジウム錯体を用いた有機エレクトロルミネッセンスデバイスは真空蒸着法で作成されるが、近年溶液塗布法も注目されている。そこでは錯体間のアグリゲーションが問題となっており、この課題を解決するために、デンドリマー型配位子を有する錯体と、錯体を自己組織化する水素結合能を有する配位子を組み込んだ錯体を合成し、その機能性発現について研究した。
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