研究課題/領域番号 |
20550057
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
山口 佳隆 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (80313477)
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研究分担者 |
浅見 真年 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (20134439)
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キーワード | NHCカルベン / ビス(ベンズイミダゾリウム)塩 / キラル二座配位子 / 不斉アリル位アルキル化反応 / NHC-BEt_3化合物 / NHC-Ag錯体 / インデニル-NHC配位子 / 異核二核錯体 |
研究概要 |
キラルなο-キシリレン架橋二座NHC配位子とパラジウムからなる触媒を用いた不斉アリル位アルキル化反応を検討した。イミダゾールNHCを用いた場合、目的の反応が進行しなかった。そこで、ベンズイミダゾール系NHC配位子を用いた検討を行った。配位子の前駆体であるビス(ベンズイミダゾリウム)塩を新規に合成し、これと酸化銀との反応によりNHC-Ag錯体を合成した。NHC-Ag錯体とπ-アリルパラジウム錯体を用いてNHC-Pd錯体を調製し、これを触媒として用いた不斉アリル位アルキル化反応を検討したところ、中程度の不斉収率で反応が進行した。本成果は満足の行くものではないが、キラルなο-キシリレン骨格を用いたNHC配位子が不斉合成触媒として機能することを示すことができた。NHC配位子の置換基等を系統的に変化させることで不斉収率の向上が期待できる。 NHCと他の配位部位を組み合わせたハイブリッド型配位子を用いた金属錯体に関する研究が活発に行われている。本研究グループでは、NHCとインデニルと組み合わせたハイブリッド型配位子を用いた単核および二核錯体(同核)の合成に成功している。ここではNHCをトリエチルボラン(BEt_3)で保護することにより、目的とする錯体を効率よく合成することができる。本研究では、異核二核錯体の合成を目的とし検討を行った。その結果、NHC-BEt_3を用いた場合、目的とする後周期遷移金属-NHC錯体を合成することはできなった。種々検討した結果、NHC-BEt_3と塩化銀との反応により、NHC-AgClに効率よく変換することができ、これを用いることで前周期/後周期異核二核錯体の合成に成功した。反応性の高いNHCを保護するという発想に基づき、テーラーメイドな錯体合成における指針を提案することができたと考えている。
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