研究概要 |
水の酸化触媒活性を有する新規ルテニウム錯体の合成と反応機構および重要因子の解明に関して、以下の1)〜3)に焦点を絞り新規ルテニウム錯体を合成した。 1)基本構造の重要性 Facial型の三座配位子(tris(1-pyrazolyl)methane)を有する錯体、ならびに二つのbpy配位子をとピリジン(py)配位子を有する[Ru(bpy)_2(py)OH_2]^<2+>錯体を合成した。これらの錯体の触媒活性は、平面三座配位子(tpy誘導体)を有する錯体の活性より小さかった。これより、平面三座配位子を有する基本構造が重要であることが分かった。 2)分子間カップリング機構の可能性 [Ru(tpy)(bpy)OH_2]^<3+>による水の酸化でRu^v=O中間体の分子間カップリングによるO-O結合生成の機構の可能性を検討するために、bpy配位子の代わりに、嵩高い2,2'-biquinoline(bqu)を有する錯体を合成した。bpy錯体に比べbqu錯体の触媒活性が著しく小さいことより、bqu配位子の立体障害により分子間のカップリング反応が抑制された可能性が示唆された。 3)置換基効果 触媒活性に及ぼすの置換基効果を検討するために、tpy配位子の4'位に置換基を導入した誘導体を合成した。電子供与性の置換基を導入することにより、触媒活性が著しく増大することを見い出した。
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