研究課題/領域番号 |
20550064
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝義 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (80249953)
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研究分担者 |
高木 秀夫 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 准教授 (70242807)
小島 正明 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (20022725)
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キーワード | 金属錯体化学 / 窒素原子転移反応 / ニトリド錯体 / 高原子価錯体 / 窒素源子挿入反応 / イミド錯体 |
研究概要 |
ジチオカルバマトを共存配位子とするイリジウム(III)-アジド錯体の光反応により窒素原子がIr-S結合間に挿入し生成した錯体(A)、およびその窒素原子が熱反応によりC-S結合間に転移した錯体(B)について、種々の親電子剤および求核剤との反応性を調査した。錯体Aは求核剤とは反応しないが、親電子剤の挿入N原子への付加反応は容易に起こった。その結果、二脚ピアノ椅子型構造を安定化していた二座配位子のπ供与性が減少し、求核剤の付加が起こるとともに、イミノ基の解離が起こることを明らかにした。このことから、一連の光反応、親電子剤の付加、求核剤の反応により、窒素原子転移が完成したことになる。 一方、熱反応生成錯体Bは親電子剤の付加は起こらないが、求核剤とは容易に反応し配位飽和な錯体を生じた。この生成錯体中では、N原子がC-S結合間に挿入した二座配位子は不安定になり、S原子上での親電子剤との反応やチオラトSの酸化が起こった。その結果、新規な含窒素有機配位子の生成に成功した。 新たな反応系の開拓を目指したルテニウム(II)-アジド錯体の合成研究では、シメンと2-ピリジンチオラトを共存する錯体の合成に成功した。この錯体の合成には、その生成経路が重要であることを明らかにし、高収率で目的錯体を得る方法を開拓した。さらに、そのアジド錯体の光反応性を調査し、高い選択性を持った反応が進行していることを見いだした。現在、この生成物の同定を行っている。
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