研究概要 |
二個の金属イオンと四個の二座配位子からなるランタン型二核錯体を、連結・連結集積化したポリマーおよびオリゴマー化合物の合成、構造決定および性質を調べた。本年度得られた結果を、以下の1および2に述べる。 1. カルボン酸架橋ルテニウム(II,III)二核カチオンの連結ポリマー錯体[Ru_2^<II,III>(O_2CR^1)_4X]_∞(R^1=CH_3(CH_2)_m、R^2=C_6H_2(O(CH_2)_nCH_3)_3 ; X=Cl^-、OCN^-、SCN^-)を合成した。X^-イオンを介したルテニウム(II,III)二核間の反強磁性相互作用の強さおよび液晶としての性質はカルボン酸イオンの炭素鎖の影響を複雑に受けることが分かった。また、^<13>Cおよび^1H NMRスペクトルの結果より、極性の低い溶媒中でであれば、このポリマー構造は形成・保持されていることが示唆された。 2. N,N'-ジアルキルフェニルホルムアミジネートイオン(R-pf-)とカルボン酸イオンを分子内に架橋配位子として含む二核ロジウム(II)およびルテニウム(II,III)錯体([Rh_2(R-pf)_m(O_2CCF_3)_<4-m>]、[Ru_2(R-pf)_m(O_2CCF_3)_<4-m>Cl](m=1、2))について、カルボン酸イオンを安息香酸イオンなどの他のカルボン酸イオンへ置換する反応を系統的に調べた。この置換反応が進んだことを、TOF-マススペクトル、NMRスペクトルおよび単結晶X線解析により確認した。この結果、テレフタル酸イオン等などへの置換反応により、二核錯体の二、三、四量化による集積連結化合物を得るための基本的合成法を確立できた。
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