研究概要 |
本年度は,サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)およびハイドロダイナミッククロマトグラフィーによるナノ粒子の分離について研究した。 これまで,SECによるナノ粒子のサイズ評価がなされているが,分離能が低い点が問題となっていた。より精確に粒子径を評価するためにはSECの高性能化が必須である。SECの高性能化を図るためには,充填剤粒子の微小化,カラム長の増大,リサイクル分離などの方法が考えられるが,ナノサイズの試料成分のサイズ排除モードによる分離を考えると,充填剤の微粒子化には限界があり,カラム長の増大が有利であると考え,長いカラムを調製し分離能の改善を試みこととした。そこで,本年度はキャピラリーSECによる直径が1~100nmのナノ粒子測定法の高性能化を目指し,シリカコロイドの溶出条件の最適化を図った。 検討の結果,シリカコロイドが検出器や連結部を含む流路に吸着するためにピーク形状が良くないことが明らかとなり,ピークをよりシャープにするために,移動相の検討を詳細に行った。その結果,陽イオン界面活性剤であるヘキサデシルアンモニウムクロリドを使用した際に連結部等への吸着を防ぐことができ,最もシャープな溶出パターンを得ることができ,5nmと78nmのシリカコロイドの分離を改善することができた。 また,ハイドロダイナミックモードにおいてもシリカコロイドのピーク形状の改善を図るため,種々移動相の条件を検討した。その結果,pHが7~9程度の比較的濃度の低いリン酸緩衝溶液が良いピーク形状を与えることが分かった。
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