研究概要 |
本年度は,ハイドロダイナミックキャピラリークロマトグラフィー(HDCC)によるナノ粒子の分離について研究した。これまで,充填カラムによるハイドロダイナミッククロマトグラフィー(HDC)によるシリカコロイド分離について検討したが,達成される分離度が充分ではなく,それを改善するためにはより小さな充填剤粒子を用いるか,あるいは長い分離カラムを用いる必要があった。そこで,透過性の高いモノリス型キャピラリーによるHDCCに注目し,シリカ系キャピラリーモノリスカラムを用いたHDCCによる直径1~100nmのナノ粒子(シリカコロイドおよび金コロイド)の分離測定法の高性能化を目指した。 内径50~150μmのモノリス型シリカキャピラリーカラムについて検討した結果,シリカナノコロイドおよび金ナノコロイドのサイズ大きいほど溶出が早く,サイズによる分離を達成することができた。用いたモノリスシリカには,10~15nm程度のメソポアがあることが想定され,小さなナノ粒子についてはHDCモードの他にサイズ排除の効果も含まれることが予測された。また,検出器や連結部を含む流路における吸着やコロイド自身の凝集を避けるために溶離液の条件を検討した。シリカコロイドについてはリン酸緩衝溶液(pH7)が,また,金コロイドについてはドデシル硫酸ナトリウムを添加することが有効であることがわかった。長さ50cmのモノリスキャピラリーカラムによって25cm充填カラムとほぼ同程度の分離能を達成できることが分かった。モノリス型キャピラリーカラムは,透過性が高く,より長いカラムを利用することにより分離能を更に改善できる可能性がある。
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