本年度は、まず、金ナノプレートの酸化インジウムスズ(ITO)表面への強固な修飾法の開発について検討した。その結果、種核成長法における成長過程で、これまでの単一の保護剤共存下だけでなく、ポリビニルピロリドンと臭化セチルトリメチルが適当な割合で共存した条件で構造成長を行い、かつ、成長操作の前後で適切な加熱処理を行うことによって、金ナノプレートをITO表面に強固でかつ効率よく修飾出来ることがわかった。また、基板についてはITOだけでなくグラッシーカーボン表面に対しても、金ナノ粒子の固定化と構造成長を検討した。その結果、ITOに比べて短時間の種核溶液および成長溶液への浸漬で、高密度の金ナノ粒子のグラッシーカーボン表面への修飾が可能であることがわかった。この場合、金ナノ粒子の構造に関しても、ITOとグラッシーカーボン表面で、結晶的な成長と平坦な被覆という違いがみられた。 混合保護剤系中での構造成長から派生した新しいナノ構造体の構造成長に対する検討では、金トリポッドやテトラポッドが水溶液中、臭化セチルトリメチルアンモニウムとヘキサメチレンテトラミンの共存条件下で調製できることがわかった。これらの安定性や生成に及ぼす種々の因子については、現在さらに検討を進めている。さらに、金ナノ粒子固定ITO電極を用いたセンサーの開発では、インドのグループとの共同研究でヒドロキシトリプタミンとその類縁体の同時定量を可能にした。また、ナノ構造体のセンサーへの展開として、発光センサーの開発についても中国のグループと共同で進めている。
|