本年度は、まず、昨年度に確立した金ナノプレート修飾酸化インジウムスズ(ITO)電極を用いて、その電気化学特性を測定した。その結果、チトクロームcの直接電子移動が可能であるほか、アスコルビン酸などへの電解においても、球状金ナノ粒子とは異なる電極触媒能を観測した。 また、金ナノ粒子をITO基板表面に高密度修飾するための検討を種々行った過程において、臭化セチルトリメチルアンモニウムとヘキサメチレンテトラミンの共存条件下での金イオンの化学還元が、微小ナノ粒子核を高密度で修飾する方法として有力であることを明らかにした。このようにして調製した表面を対象にさらに還元成長を行うことで、これまでにない高密度でITO表面を金ナノ粒子で被覆できることが分かった。この表面に関しては、電気化学分析への応用についてさらに検討を進めている。 これまでの金ナノ粒子の2次元的な修飾に加えて、本年度は、金属ナノ粒子の3次元修飾に関する検討も開始した。ろ紙やキムワイプを保持媒体として、そこに金ナノ粒子を修飾することで、電気化学応答が改善する傾向を見出した。これに関しては、今後さらに検討を進める予定である。 また、金ナノ粒子固定化ITOの応用に関しては、当方で作成した電極を送って、インド・タイ・南アフリカ・韓国のグループと共同研究を進めており、その成果の一部は、本年共著論文として報告することができた。このような共同研究に関しては、次年度もさらに進めていきたいと考えている。
|