研究概要 |
本研究は,金属サレン錯体と有機ハロゲン化物との触媒的酸化還元反応を利用した,有機ハロゲン化物の高感度検出法の開発を最終目的とする。最終目標に達するまでの基礎的研究として,1)金属サレン錯体と有機ハロゲン化物との反応のスクリーニング2)金属サレン錯体の電気化学的酸化還元挙動の解析3)金属サレン錯体と有機ハロゲン化物と反応解析4)金属サレン錯体の改良(合成),同定を行う。平成20年度は,有機ハロゲン化物の検出法開発に向けた,金属サレン錯体と有機ハロゲン化物との反応のスクリーニング,金属サレン錯体の電気化学的酸化還元挙動の解析,金属サレン錯体と有機ハロゲン化物と反応解析,金属サレン錯体の改良(合成),同定といった基礎的研究を行った。その結果,コバルトーおよび鉄サレン錯体の電気化学的酸化還元挙動について詳細に調べた。まず,より酸化還元電位の低い状態で,脱ハロゲン化反応を進行させる目的で,Li^+イオンの影響を調べ,デジタルシミュレーションによって酸化還元メカニズムを明らかにするとともに,Li+イオンとの平衡反応定数を算出することが出来た。また,様々な置換基を有する配位子を合成し,その酸化還元挙動についても調べ,置換基の違いによる酸化還元電位の傾向を明らかにした。脱ハロゲン化反応に関しては,どの鉄サレン錯体を用いても目的の脱ハロゲン化反応が進行することを,GC-MSから明らかにした。さらに,電極に紫外光を照射することによって,脱ハロゲン化反応がより速やかに進行することも明らかになった。
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