研究概要 |
「研究の目的」:金属酵素にキレート剤を作用させると、活性部位から補因子である重金属イオンが除去され、触媒活性のかけたアポ酵素が得られる。このアポ酵素は特定の重金属イオンに対する親和性を保持していることに着目し、重金属イオンの微量計測を考案するに至った。金属酵素としては、市販品として容易に入手できるキウリ由来のアスコルビン酸オキシダーゼ(ASOD)を選び、銅(II)イオンの特異的定量を行った。さらに、当電点において直流電流(mAレベル)を酵素固定化物に印加することより、アポ酵素に変換することを試行し、先ずは、フロー形式の酵素リアクターの試作と、電解方式によるアポ酵素入め変換を試みた。 「研究の成果」 (1) キレート剤によるアポ酵素への変換と再確認:計測システムにおいてキレート剤を用いるアポ酵素への変換については、昨年度に30 mA, pH8.0, 0.5 mLのN, N-ジエチルジチオカルバミン酸(DDTC)液を導入すれば良いことを確認し、0.1uM~1.0mMの範囲で測定可能であった (2) 改良式フロー形リアクターの製作:昨年度にアクリル樹脂から成る電解デバイス付きのフローセルを製作し、数ボルト以下の電圧でも、十分な電流を通電できることを例証した。このフローセル内でのキャリアーの円滑な通液状況の改善を目的として、改良式リアクターの再製作を果たした。 (3) 種々検討した結果、活性の発現に必要な金属ネットでは表面積が不足することが示され、多孔性の炭素繊維を適用し、これに金酸溶液を滴下、風乾後、常温での水素ガスによる還元で高触媒活性の固定化酵素用シートを得る事に成功した。
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