研究概要 |
我々は、o-メトキシカルボニル-α-ジアゾアセトフェノン及びその誘導体を前駆体として発生させたカルボニルイリドのキラルルイス酸触媒による不斉誘起にはじめて成功している。また、本課題の研究成果として、本手法を1-ジアゾ-2,5-ヘキサンジオンなどの鎖状ジアゾジケトン類をカルボニルイリド前駆体とするブチルビニルエーテルとの逆電子要請型の付加環化反応にも、拡張できることを明らかにしている。平成22年度には、親双極子剤の基質一般性に関する検討として、2,3-ジヒドロフランやインドール誘導体との反応を行ったところ、1-ジアゾ-5-フェニル-2,5-ペンタンジオンをカルボニルイリド前駆体として、(4S,5S)-Pybox-Ph_2-Lu(OTf)_3錯体(10mol%)存在下、1-メチルインドールとの反応において高いエナンチオ選択性(90%ee)でexo-付加体(78:22)が選択的に得られることを見出した。o-メトキシカルボニル-α-ジアゾアセトフェノンの反応では、endo-付加体のみが比較的良好なエナンチオ選択性(77% ee)で得られた,更に、5-ブロモ-1-メチルインドールや5-メトキシ-1-メチルインドールを親双極子剤とする反応も高exo-選択的(89:11,90:10)かつ高エナンチオ選択的(98% ee,88% ee)に進行することも明らかした。ジアゾ基質一般性に関して,5-位の置換基についての検討を行った結果、p-MeC_6H_4やp-Br-C_6H_4などの芳香族置換基では良好なエナンチオ選択性(83% ee,84% ee)が観測されるものの、Meやi-Prなどの置換基では、exo-体のエナンチオ選択性は中程度(52% ee,68% ee)であった。本手法を用いた光学活性インドールアルカロイドの合成への応用が期待される。
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