研究概要 |
キラルなトリフルオロメタンスルホニルオキシケイ素ルイス酸触媒におけるMannich反応において、1,3-ジカルボニル化合物を基質として用いたところ、トシルアミンが円滑に反応することを見出した。この反応において、鏡像体過剰率24%eeで目的物を得ている。反応収率は非常に高い。エナンチオ選択性が低いながら、反応はキラルなケイ素エノラートを経由して進行することが考えられる。今後、1,3-ジカルボニル化合物を求核剤とし、アルジミンを求電子剤とするMannich反応において、窒素の保護基およびジカルボニル化合物の置換基効果を検討することで、より高いエナンチオ選択性を達成できると考えている。他方新しい試みとして、キラルなケイ素ルイス酸に、塩基部位として、4-アミノピリジンを組み込んだ酸-塩基複合触媒の開発を行った。この、化合物を触媒として、アセトフェノンとベンズアルデヒドから誘導したトシルイミンを反応させたところ、円滑にMannich反応が進行し、高収率で対応する付加体を与えた。しかし、鏡像体過剰率34%eeであった。この反応は、反応系中で、酸塩基複合触媒であるピリジリケイ素ルイス酸に、配位・活性化された、アセトフェノンがケイ素に結合するピリジンにα位水素を低抜かれキラルなケイ素エノラートを形成する。それと同時に、ケイ素上のピリジンはプロトンを引き抜くことによってピリジニウム化する。この、ピリジニウム水素と水素結合を介して、捕捉・活性化されたトシルイミンが分子内的にキラルケイ素エノラートと反応するものと考える。今後、1,3-ジカルボニル化合物な環状エノラートを形成する基質を用いてより高い選択性を達成できると考えている。
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